果ての書庫-魔牢リブレリア
「…おや、お客様とは珍しい。
ようこそ、リブレリアへ。
館内は飲食禁止ですから、お茶もお出しできず、申し訳ありませんが…
…ああ、お待ち下さい。
こちらの書庫の蔵書はどれも、閲覧できないのですよ。
作家が、想いをこめて書いた物語というものは…
時に強い魔力を宿し、
書がそのまま、異界への扉となってしまうものが存在いたします。
一般的に【呪本】などと呼ばれ、忌まれていますから…
その多くは悲しいことですが、焚書されてしまっていますけれどね。
しかしここの住人たちは、
人の子のほむらなどの手に負えるようなものでは、ありませんでした。
ここは、その保管庫。物語の牢獄。
紐解かれることなく、交わることを許されぬ、世界の境界が集う場所。
どうです。 ひとつ、お手に取られてみませんか。
…構いませんよ、あなたは口がお堅そうだ。
本来物語は、束縛されぬもの。
私は彼らを、縛りたくはありません。
きっと宿る住人達も、貴方と共に旅路を歩むことを、望んでいることでしょう」
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